UFC階級を完全解説|体重・王者・初心者が一番混乱するポイントを完全整理
目次
- UFCの「階級」とは?まずは超シンプルに理解しよう
- 初心者が混乱するポイント
- UFC階級別・日本人選手がフライ級・バンタム級に集中する理由とは?
- 一番KOが多いのはどの階級?試合スタイルの違いも完全解説
- UFCの階級を理解すると観戦はここまで変わる|“試合の裏側”まで見えてくる理由
- まとめ|UFCの階級は「体重の地図」。ここを理解すればもう初心者卒業
UFCの「階級」とは?まずは超シンプルに理解しよう
UFCの階級とは、選手の体重によって分けられた「weight division(体重別カテゴリー)」のことです。
体格差による危険を防ぎ、公平な条件で戦うために用意された、格闘技における一番大事なルールのひとつだと思ってOKです。
なお、反則・ラウンド制・判定基準などの基本ルールについては、下記の別記事でまとめています。↓
「UFC観戦が10倍おもしろくなる「ルール・判定・反則」完全ガイド【初心者向け】」
もあわせて読んでおくと、この階級解説がさらに理解しやすくなります。
ボクシングも同じ階級制のスポーツですが、UFCは階級の数は少なく1階級の差は約5Kgの差があるのが特徴。
階級を理解するだけで、試合のスピード感・迫力・戦略が一気に見えるようになり、観戦する目線が変わってくると思います。
以下が男子と女子の階級表です。
UFCの男子階級一覧(Men’s UFC Weight Classes)
- フライ級(Flyweight / up to 125 lb / 56.7kg)
- バンタム級(Bantamweight / up to 135 lb / 61.2kg)
- フェザー級(Featherweight / up to 145 lb / 65.8kg)
- ライト級(Lightweight / up to 155 lb / 70.3kg)
- ウェルター級(Welterweight / up to 170 lb / 77.1kg)
- ミドル級(Middleweight / up to 185 lb / 83.9kg)
- ライトヘビー級(Light Heavyweight / up to 205 lb / 93.0kg)
- ヘビー級(Heavyweight / up to 265 lb / 120.2kg)
UFCの女子階級一覧(Women’s UFC Weight Classes)
- ストロー級(Strawweight / up to 115 lb / 52.2kg)
- フライ級(Flyweight / up to 125 lb / 56.7kg)
- バンタム級(Bantamweight / up to 135 lb / 61.2kg)
初心者が混乱するポイント
①:階級名と体重が直感的に結びつかない
フライ級・フェザー級・ライト級など、UFCの階級名は英語由来のため、日本人にとっては「名前=体重のイメージ」が直感的につながりにくいのが最大の混乱ポイント。
たとえば初心者の多くが「ライト級(Lightweight)って軽そう」と感じますが、実際のライト級は約70kg。フライ級(約56kg)とはおよそ14kgもの差があり、これは一般人なら別人レベルの体重差。
このズレが起きる理由はシンプルで、
- Fly = ハエ → めちゃ軽そう
- Feather = 羽 → これも軽そう
- Light = 軽い → 一番軽そうに聞こえる
という「単語のイメージ」と、実際の選手の体格が一致していないからだと思います。
特に日本人男性の平均体重(約65〜68kg)を基準に考えると、「ライト級」はすでに立派なフィジカルアスリートと言える体重です。
一番おすすめの覚え方は、
「自分の体重はどの階級に近いか?」で基準を一つ決めること。
自分を起点に上下を見るだけで、全階級の重さが一瞬で立体的に理解できおすすめです。
②:計量と試合当日の体重は別物
UFCでは、試合前日に公式計量(official weigh-in)が行われ、ここで各階級のリミット体重をクリアする必要があります。
しかし、この計量時の体重はあくまで「一時的に作った数字」であり、本当の試合当日の体重とはまったく別物!
多くの選手はこの計量に向けて、
- 水分を極限まで減らす
- 食事も大幅に制限する
- サウナや発汗スーツで無理やり汗を出す
といった過酷なweight cut(減量・水抜き)を行います。
この状態は正直、戦えるコンディションではなく、だからこそ、計量が終わった瞬間から、選手たちはすぐに
- 大量の水分補給
- 炭水化物中心の食事
によるリカバリー(体重戻し)(recovery / rehydration)をスタートさせます。
その結果どうなるかというと、計量時は70kg(155lb)だった選手が、試合当日には78〜80kg(170〜175lb)前後まで戻っている、というケースは珍しくないです。
なぜそんな危険な減量をするのか?
理由は単純で、「少しでも体を大きくして試合した方が有利」だからです。
格闘技では、
- 体重が重いほど、打撃の破壊力(knockout power)が上がる
- 筋肉量が多いほど、組み合い・押し合いに強くなる
- 体格差があるほど、テイクダウンや抑え込みが有利になる
というフィジカルの“物理法則”があります。
そのため選手たちは、ギリギリまで軽い階級に下げて、試合当日に最大サイズに戻すという、いわばサイズのチート行為に近い戦略を取っているわけです。
もちろんその分、
- 脱水によるパフォーマンス低下
- 脳へのダメージリスク上昇
- 心臓・内臓への負担増加
など、選手生命に関わるリスクも抱えています。
そのため近年は、「過度な減量は禁止すべきでは?」という議論が、世界中のMMAシーンで進んでいます。
③:階級をまたいで戦う選手がいる
UFCでは、複数階級で王者になる「二階級制覇(double champ)」を達成する選手も存在します。
これはUFCだけでなく、ボクシングや他団体を含めても“異次元クラスの偉業”です。
そもそも格闘技において体重とは
- 攻撃力(パワー)
- 防御力(打たれ強さ)
- スタミナの消耗ペース
- 組み合いの強さ(グラップリングフィジカル)
など、あらゆる能力の土台になる最重要要素です。
つまり階級が変わる=「戦うルールそのものが変わる」と言っても過言ではありません。
実際にボクシングでは、1階級上がるだけでも
- それまで効いていたパンチが通用しなくなる
- 相手の一発のダメージが別次元になる
という現象が普通に起こります。
それくらい「体重差」は勝敗を左右する巨大なファクターなんです。
にもかかわらず、その体重差を越えて
- 下の階級で「この階級では最強」
- 上の階級でも「条件が変わってもやっぱり最強」
と証明してしまうのが二階級制覇(double champion)です。
UFCでいえば、ライト級(約70kg・Lightweight / 155lb)からウェルター級(約77kg・Welterweight / 170lb)に上げるだけでも、
打撃の重さ、組み力、耐久力、すべてがワンランク上の世界になり、そこで同じように勝ち続け、さらに王者まで登り詰めるのは、
常識的に考えて“あり得ない領域”!
つまり二階級制覇とは
「この階級では最強」ではなく
「体重という前提条件を変えても最強だった」
ことが証明される、格闘技でもっとも価値の高い称号のひとつです。
そのため、二階級制覇を達成した選手は
- 競技の歴史に名前が刻まれる
- 世界的スーパースターになる
- 引退後もずっと語り継がれる存在になる
という、特別な領域に一気に到達します。
この存在があることで、初心者の方は
- 「この選手、今どの階級で戦ってるんだっけ?」
- 「前は別の階級のチャンピオンじゃなかった?」
と混乱しやすくなりますが、それこそが“本物の超一流だけが許される特別な立場”なんです!
UFC階級別・日本人選手がフライ級・バンタム級に集中する理由とは?
階級ごとに王者の名前やキャラクターを知っていくと、UFC観戦は単なるスポーツではなく、
「因縁・世代交代・最強決定戦」という物語として一気に面白くなります。
なかでも、
- フェザー級(Featherweight)
- ライト級(Lightweight)
- ミドル級(Middleweight)
- ヘビー級(Heavyweight)
あたりは、歴代スターが最も多く集まる“超激戦区(stacked division)”として有名です。
- フェザー級・ライト級:スピードとテクニックのバランスが最強
- ミドル級:パワーとスキルが高次元で融合
- ヘビー級:一撃KO(one-punch knockout)が日常茶飯事の最重量級ゾーン
歴代の王者たちは
- 圧倒的なKO王
- 寝技で制圧する支配者
- 何度も防衛を重ねた絶対王者
それぞれまったく異なるスタイルでUFCの歴史を作ってきました。
王者の名前を覚えながら観戦すると、
「この選手は誰を倒してここまで来たのか?」
「この防衛戦はどれだけ価値があるのか?」
といった背景まで楽しめるようになり、UFC観戦の奥行きが一気に広がります。
UFC階級別・日本人選手一覧と参戦傾向
現在UFCで戦っている日本人選手の多くは、
- フライ級(Flyweight / up to 125 lb / 56.7kg)
- バンタム級(Bantamweight / up to 135 lb / 61.2kg)
といった軽量級に集中しています。
これは、
- 日本人の平均体格
- スピード&テクニック重視のスタイル
- スクランブルや細かい攻防が得意な選手が多い
といった要素が、軽量級の戦い方と非常に相性が良いからです。
フライ級・バンタム級の特徴としては、
- 試合展開がとにかく速い
- 攻守の入れ替わり(scramble)が多い
- 関節技・テイクダウン・ポジショニングの精度が超ハイレベル
といったポイントが挙げられ、日本人選手の持ち味が最大限に活かされやすい階級でもあります。
階級と日本人選手をセットで覚えておくと、
「今日はどの日本人選手が出るのか?」
「この相手はタイトル戦線に絡むレベルなのか?」
といった視点で観戦できるようになり、没入感は一気に跳ね上がります!
とくにフライ級・バンタム級は世界的にも層が厚く、日本人選手が世界のトップと真正面からぶつかる、もっともスリリングな階級ゾーンのひとつとなっています。
一番KOが多いのはどの階級?試合スタイルの違いも完全解説
階級によって、UFCの試合スタイルはかなりハッキリと変わります。
その違いが一番分かりやすく出るのが「KO決着率(knockout rate / KO rate)」です。
基本的な傾向はシンプルで、
- 軽量級(lighter divisions):スピード&テクニック中心 → 判定決着が多い
- 重量級(heavier divisions):一発の破壊力が跳ね上がる → KO・TKOが増える
この流れはUFCに限らず、ボクシングや他のMMA団体でも共通して見られる、
「体重が重いほど一撃のダメージが大きくなる」という格闘技の絶対法則です。
軽量級(フライ級・バンタム級)の特徴|KOは少なめ、その分テクニックの嵐
フライ級・バンタム級はUFCの中でも最軽量クラスにあたり、
スピード・反応速度・スタミナ・テクニックが最大の武器!
この階級では
- クリーンヒットしても、一発KOになりにくい
- 3R or 5Rフルに戦い抜いて判定決着になる試合が多い
- タックル→切る→また組む…とスクランブルが連続する
といった特徴があります。
KO率だけを見ると他階級より低めですが、その分、
- スピード
- 反応速度
- ポジショニング
- サブミッションの繋ぎ方
など、テクニカルな攻防の密度は全階級トップクラス。
そのため、
「テクニックで魅せる戦いが好きなファン」や
「MMAの細かい攻防をじっくり味わいたい
中量級(フェザー級・ライト級)の特徴|KOと判定のバランスが最強の“黄金階級”
フェザー級・ライト級は、
- スピード
- パワー
- テクニック
- スタミナ
すべての要素が最も高い次元で融合する“黄金階級”です。
そのため
- 鋭いカウンター一発でのKO(counter KO)
- ジワジワ削り合った末のTKO
- フルラウンドの激戦判定
など、あらゆるパターンの決着が起こり得ます。
特にライト級(Lightweight division)は、
「UFCで最もスター選手が集まりやすい階級」と言われるほど人気で、
KO率と名勝負率(Fight of the Nightになりやすさ)のバランスがピークに達するゾーンです。
重量級(ミドル級・ライトヘビー級・ヘビー級)の特徴|一発で世界がひっくり返るKO階級
ミドル級以上になると、
- 一発のパンチ
- 一発のキック
- 一度のテイクダウンミス
が、そのまま試合終了に直結する世界になります。
とくにヘビー級では
- 1ラウンドKO
- 開始数十秒で決着
といった試合も日常茶飯事!
KO率は階級が重くなるほど明確に上昇し、
「一番KOが生まれやすい階級はどこ?」と聞かれたら、ほぼ間違いなく“ヘビー級”と答えてOKです。
ただしその分
- 試合時間が短くなりやすい
- 展開が一瞬で終わる可能性が高い
という特徴もあり、
スリル特化型の試合が多く、誰が見ても結果が分かる試合が多いのが特徴で人気のある階級です。
KO率を知ると何が面白くなるのか?初心者が得する3つの視点
KO率や階級ごとの傾向をざっくり知っておくだけで、観戦の楽しみ方はかなり変わります。
- 「今日は判定が多そうなカードか? それともKO祭りになりそうか?」が事前にイメージできる
- 「打撃戦寄りか、組み技寄りか」が階級だけである程度予測できる
- 「どのラウンドが一番危ない時間帯か」が何となく分かってくる
たとえばヘビー級のメインカードなら、
「開始30秒〜1分が一番危ない“デンジャーゾーン”」という独特の空気があるし、
フライ級なら、
「最後の10秒まで一瞬で形勢が変わる可能性がある」というスリリングな見方ができます。
KO率は“危険度”であり“興奮指数”でもある
KO率は単なるデータではなく、
その階級が持つ
- 試合の危険度
- 一撃で終わる緊張感
- 観客の興奮度
をすべて数値化した指標でもあります。
ざっくりまとめると、
- 軽量級:技術で魅せるテクニカル階級
- 中量級:総合力で殴り合う“黄金階級”
- 重量級:一撃必殺のロマン階級
この違いさえ頭に入っていれば、
UFCは「ただ結果を見るスポーツ」から、「予測して楽しむ」スポーツへと進化すること間違いなし!
UFCの階級を理解すると観戦はここまで変わる|“試合の裏側”まで見えてくる理由
UFCの階級(UFC weight classes)を理解できるようになると、
ただ試合をボーッと「眺める」状態から、
「展開を予測しながら観る」楽しみ方へ一気にステップアップします。
これは野球で打順や配球を理解して観るのと同じように、
格闘技でも“見える情報量”が爆発的に増えるからです。
たとえば階級が分かるようになると、
- 選手同士の体格差・リーチ差がどれくらい致命的か
- ラウンドが進むほど、どの選手のスタミナがキツくなりやすいか
- KOが起こる確率が高いのは序盤か終盤か
- なぜこの選手はリスクを取らず慎重に戦っているのか
といった要素を、リアルタイムで読み解けるようになります。
軽量級では、
「スピードと反応速度が極限まで研ぎ澄まされた世界」が展開され、
重量級では、
「一発のミスが即終了につながる、綱渡りのような世界」が広がっています。
同じUFCでも階級が違えば“別競技レベルの空気”が流れているんです。
さらに階級を理解すると、
「この階級は判定が多いから、今日は5Rまで行く可能性が高いな」
「この階級はKO率が高いから、序盤の攻防が一番危険だな」
といった予測までできるようになります。
また、階級は選手の戦い方そのものにも深く影響しています。
体が小さい階級ほど、
- 無駄な動きが命取り
- スタミナ配分が勝敗を左右
- 一瞬の判断力がすべて
という、極めて精密な戦いになります。
逆に重量級になるほど、
- 一発の破壊力
- 組み合った瞬間のフィジカル差
- テイクダウン一回の重み
といった要素が勝敗を大きく左右し、ラウンド全体の流れが一撃でひっくり返る世界になります。
この違いを理解した状態で観戦すると、
- なぜこの選手は序盤に攻めすぎないのか
- なぜこの階級では早めの決着が多いのか
- なぜこの選手は終盤で一気にギアを上げたのか
といった“選手の選択”がすべてストーリーとしてつながって見えてきます。
さらに階級を把握すると、
「この選手は減量の影響が大きそうだな」
「今回は階級変更の初戦だから慎重になるはず」
といった、試合前の情報すら“意味のある材料”に変わります。
ここまで理解できると、UFC観戦は
「勝った・負けた」だけを見るスポーツから、
戦略・心理・リスク管理まで読み合う“格闘技版チェス”のようなエンタメに変わります。
「じゃあ実際にUFCを観てみたい!」という方は、どこで見られるかも下記の記事をチェックしておきましょう。
「UFCの視聴方法ガイド|配信サービス・おすすめの見方を徹底解説」
で、最新の視聴方法をまとめています。
階級とは、ただの体重区分ではなく、
「どんな速さで戦うのか」
「どれくらいの一撃で終わり得るのか」
「どれだけのスタミナとフィジカルが要求されるのか」
という、試合そのものの前提条件を決める“体重の地図”です。
この基準を理解できた瞬間から、この記事を読んでくれたあなたのUFC観戦は、もう初心者の領域を完全に卒業しています!
まとめ|UFCの階級は「体重の地図」。ここを理解すればもう初心者卒業
UFCの階級は、単なる「体重ごとの区切り」ではなく、
- スピード
- パワー
- スタミナの使い方
- KOの起こりやすさ(KO率 / KO rate)
- 戦い方・ゲームプラン
といった、試合のすべてを形作るベースとなるルールです。
階級を理解できていると、
「なぜこの試合はハイスピードなのか?」
「なぜこの階級は一撃KOが多いのか?」
「なぜこの選手はこんなに慎重なのか?」
といった“理由”が自然と見えるようになります。
ここまで読み進めてくれたあなたは、もうUFC観戦の完全初心者ゾーンは卒業です!
次にUFCを観るときは、この記事で学んだ内容をセットで思い出してみてください。
同じ試合でも、これまでとはまったく違う景色が見えてくるはずです。