UFC Fight Night112 ケイプがロイバルを1Rでストップ、年内ラストを締める
UFC年内ラスト興行の舞台はAPEX。観客の数が多いアリーナとは違って、ここは“静けさ”が試合の臨場感を増幅させる場所。
派手な演出が少ないぶん、一発の重さと“攻撃が効いた時の空気”が、そのままこちらに飛んできます。
そして今夜、その空気を一瞬で切り替えたのが マネル・ケイプ(Manel Kape)!
最初の数十秒で「今日は何か起きる」と思わせて、次の瞬間には「もう終わるかもしれない」に変えてくる。
対する ブランドン・ロイバル(Brandon Royval)も、ただの挑戦者じゃない。
蹴りでリズムを作り、出入りで相手の感覚を狂わせる。フライ級でも屈指の忙しさを持った選手で、いつも試合が動く。つまりこのメインは、最初から“静かに始まって静かに終わる”タイプではありませんでした。
結果はその予感以上に速かった!
APEXの静寂が、たった一撃で「歓声」と「ざわめき」に変わる。
短時間で終わったのに、内容が濃い。
そんな試合が本当にあるんだと、改めて見せつけられた夜でした!
この記事ではUFCラスベガス112(Royval vs Kape)の試合結果を、理解できる形に整理しつつ、メインの勝敗を分けたポイント、ハイライトになったKOの要点、そして次に繋がる見どころまでまとめていきます。
「結果だけ知りたい人」も「展開の意味まで押さえたい人」も、ここを読めば一気に追いつけるはず!
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試合展開を初心者向けに細かく解説
ブランドン・ロイバル(Brandon Royval) vs マネル・ケイプ(Manel Kape)
2人がやりたかったことは
ロイバルは「広いスペースで、蹴りを当てながら動いて戦う」タイプ。
ケイプは「前に出て、相手が下がる先(フェンス際)で大きい一発を当てる」タイプ。
試合結果
- 勝者:マネル・ケイプ
- 決着:KO/TKO(パンチ)
- 時間:1R 3:18
結果内容
ブランドン・ロイバル(Brandon Royval) vs マネル・ケイプ(Manel Kape)
立ち上がりはロイバルがサウスポー、ケイプはオーソドックス中心だけど構え替えも見せ、距離をとったが、ケイプが前に出る圧でロイバルを下がらせ、
最後はフェンス際で右を当ててダウンを奪い、上からの追撃でレフェリーが止めた(1R 3:18)。
勝敗のポイント
- ロイバルは蹴りでリズムを作りたい
- ケイプは相手の得意距離に付き合わず、踏み込み→右を当てる場面を作った
- ロイバルが「蹴りで距離を作って戦う時間」を、ケイプが“前進と距離の詰め”で短くした。
- 1Rで終わったが、距離・タイミング・決定力が一気に形になったメインだった
Round 1
まずはキックの当て合いで、ケイプは前進。
ゴング直後、ケイプが前に出ながらロー(特にスネではなく“ふくらはぎ”を狙うカーフキック)を当てて挨拶。
ロイバルも蹴りを返して、序盤から「足への蹴り」の応酬。
ロイバルはボディ(体)にも蹴りを入れて、“近づかせないためのストップ”を作ろうとします。
ケイプはそれでも下がらず、じわじわ前に出て距離を詰めていきます。
- ロイバル:サイドキックやボディキックで、近づく勢いを止める。
- ケイプ:カーフキックを混ぜつつ、前進して下がらせる。
ロイバルが「蹴って回る」、ケイプが「追って当てる瞬間を探す」
中盤はロイバルが回りながら蹴りを当てて、ケイプの前進を“いなす”時間帯があります。
ただケイプは無理に打ち合わず、フェイントや手の位置取りで「大きいパンチを当てる入口」を探し続けます。
ここは殴り合いよりも “立ち位置の取り合い” がメイン。
ロイバルは「広い場所で戦いたい」、ケイプはプレッシャーを与え「狭い場所(フェンス際)に追い込みたい」。
終盤、両者に一瞬「動きがおかしい」場面が入ります。
ケイプが急に下がってフェンスに手をつくような動きがあり、続いてロイバルもキックのあとに“つま先をぶつけた(痛めた)ような”素振りが出ます。
その直後、ケイプが前に出てロイバルをフェンス際に追い込み、右を強く当ててダウンを奪います。
倒れたロイバルに、ケイプは上からパンチを連打。
ロイバルは起き上がろうとしますが足元がふらつき、レフェリーが安全のために試合を止めました。
公式結果は「ケイプが1R 3:18、KO(パンチ)」で勝利!
なぜ止められた?
KO/TKOのストップは「完全に動けなくなった時」だけじゃありません。
今回みたいに、
- ダウンした直後に“意識が落ちたように見える”瞬間がある
- 上から連打をもらって、反撃が成立していない(守るだけ)
- 立ち上がろうとしても足がふらついている
こういう要素が重なると、レフェリーは「このままだと危ない」と判断して試合を止めます。
試合直後、ロイバルは止められたことに納得いかない様子も見えましたが、リプレイでは一瞬“落ちている”ように見える場面があり、ストップと判断。
勝敗を分けた3つの技術
- 前に出る力(プレッシャー):ロイバルが広い場所で戦う時間を短くした。
- フェンス際の強さ:下がった先がフェンスだと逃げ道が減り、一発が当たりやすくなる。
- “短い右”の当て方:大振りじゃなく、近い距離で最短で当てる右が決定打になった。
ケイプ勝利でフライ級ランキングはどう動きそう?
まず前提として、UFCの公式ランキングは大会直後に即時反映ではなく、更新タイミング次第で数日ズレることがあります。
なのでここでは「現実的に起きそうな動き」を、根拠がある範囲で“推測”として整理します。
- ケイプはロイバルを1R 3:18のKO/TKOでストップ。インパクトは最大級
- 試合前のUFCフライ級ランキングでは、ロイバルは#2
- 海外メディアでも「ケイプがロイバルの順位(上位)を奪う可能性が高い」
起こりそうなランキング変動(予想)
- ケイプ:トップ3入り(#2〜#3へジャンプ)
“上位ランカーを1Rで仕留めた”のは、ランキングを動かす一番分かりやすい材料。特に「判定勝ち」より「KO/TKO」は評価が跳ねやすい。 - ロイバル:トップ5圏内に残りつつ後退(#2→#4〜#5あたり)
一発で止められた負けは重いが、これまでの実績があるため“圏外まで落ちる”は考えにくい。
ただし「同階級の他選手の直近結果」とセットで押し下げられる可能性はある。
タイトル戦線への影響は?
ケイプは試合後、王者線を強く意識したコメントを出していて、タイトル戦線をさらに混ぜ返しています。
この状況を“分岐”で書くなら、次の3パターンが分かりやすいです。
- パターンA:ケイプが次期挑戦者に一気に浮上
「上位からのKO勝利」+「本人のタイトル要求」で、最短ルート。 - パターンB:ケイプ vs もう1人の上位で“挑戦者決定戦”
タイトル戦の枠がすぐ決まらない場合、ケイプを“最後の関門”に置いて1戦挟む可能性もある。 - パターンC:王者側の都合(負傷・スケジュール)で、ランキング通りにいかない
UFCは「誰が強いか」だけじゃなく「誰がいつ出られるか」も超重要。ここで急に別ルートが出ることは普通にある。
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ケヴィン・ ヴァシェホス(Kevin Vallejos) vs ギガ・ チカゼ(Giga Chikadze)
2人がやりたかったことは
チカゼは遠距離のキックボクシング
- 離れた距離からボディキック/ハイキックで削る
- 相手が前に出てきたら蹴りで止めて、近づかせない
- “危ない距離(近距離の殴り合い)”に入らない
ヴァシェホスは前に出て攻撃を当てる
- 前進して逃げ道を減らす(=フェンス際に追い込む)
- 蹴りで止められても、もう一歩入ってパンチの距離を作る
- 決定打は“単発の一撃”でもOK。今回はそれが回転系の一発だった
試合結果
- 勝者:ケビン・ヴァシェホス
- 決着:KO(スピニング・バックフィスト&エルボー)
- 時間:2R 1:29
結果内容
ケヴィン・ ヴァシェホス(Kevin Vallejos) vs ギガ・ チカゼ(Giga Chikadze)
勝負を決めたのは、回転しながら放ったスピニング・バックフィストでのダウン奪取と、その直後の素早い肘による追撃。
チカゼは蹴りで距離を保ちながら戦いたいタイプだが、バジェホスが前進して距離を詰め、下がらせたところで一気に仕留め切った形。
インパクトの大きいフィニッシュで、カードの流れを一段上げた決着となった。
勝敗のポイント
- 距離の奪い合い:チカゼは「遠い距離の蹴り」で試合を作りたいが、ヴァシェホスは前進してその距離を消しにいった。
- “下がらせた瞬間”を逃さない:2R、ヴァシェホスがパンチを当ててチカゼが後退した場面が分岐点。フェンスが近い状態で逃げ道が減り、被弾しやすくなった。
- フィニッシュの見えにくさ:スピニング・バックフィストは回転で死角から飛んでくるため反応が遅れやすい。ここが一撃KOにつながった。
- 追撃の判断が速い:ダウン後にすぐ肘(エルボー)をまとめて、レフェリーが止める状況を作った。
- チカゼ側の難しさ:蹴りで止めたい相手が“入ってくる”決断をすると、得意の距離が削られ、近距離のリスクが一気に上がる。
Round 1
- 序盤は両者慎重。まずヴァシェホスがローを入れて、様子見からスタート。
- チカゼはキックを出すが、途中で滑る場面があり、ヴァシェホスが一瞬だけ前に出てチャンスを狙う(ただし決定打までは行かない)。
- このラウンドで大きい出来事:チカゼがローをチェックした際にスネが裂けて出血。血が足元まで流れるほどになり、見た目のインパクトが強い。
- 終盤、ヴァシェホスが前進してフェンスに押し込む場面も作るが、チカゼは距離を戻し、蹴りで試合を組み立てる。
- 結果的に1Rは「チカゼの距離支配がやや優勢」に見える内容。
Round 2
- 開始直後、チカゼはボディキックとハイキックで、引き続き距離を保とうとする。
- でもヴァシェホスがここでギアを上げる。「蹴りで止められても、もう一歩入る」判断に切り替わる。
- ヴァシェホスの右が当たり、チカゼが「思ったより効いた」ような反応を見せて後退。ここが分岐点。
- チカゼが下がってフェンスを背負う形になり、ヴァシェホスが追いかけて勝負に行く。
- その勢い(回転のモメンタム)を使ってスピニング・バックフィスト
- チカゼが崩れ落ちてダウン
- ヴァシェホスが上から肘(エルボー)をまとめる
- レフェリーが危険と判断してストップ
勝敗を分けた3つの技術
なぜ“蹴りが効いてたのに”逆転KOになった?
- 距離が変わった
チカゼの武器は遠距離の蹴り。ヴァシェホスが「入る」決断をした瞬間、チカゼの得意距離が削られた。 - フェンスが“逃げ道”を消す
背中がフェンスに近いと、下がって避ける余裕が減る。だからパンチも回転技も当たりやすくなる。 - 回転系は“見えにくい”
スピニング・バックフィストはタイミングが合うと、視界の外から飛んでくる。受ける側は反応が遅れやすい。
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メルキザエル・ コスタ(Melquizael Costa) vs モーガン・ チャイエー(Morgan Charriere)
2人がやりたかったことは
チャイエーは距離を使うキックボクシング(外側で戦う)
- 離れた距離からキック(ロー/ボディ/ハイ)で先に当てて、主導権を握る
- 相手が前に出てきたら、ステップで回って正面に立ち続けない
- 危ない距離(近距離の殴り合い)を避けて、自分の間合いで勝負する
コスタは前に出て主導権を取る(プレッシャー型)
- 中央を取り、前進して下がらせる(=逃げる距離を減らす)
- フェイントやボディへの攻撃で反応を引き出し、大きい一撃のタイミングを作る
- 決定打は単発でもOK。今回はヘッドキック(ハイキック)で一撃終了
試合結果
- 勝者:メルキザエル・コスタ
- 決着:KO(ハイキック/ヘッドキック)
- 時間:1R 1:14
結果内容
メルキザエル・ コスタ(Melquizael Costa) vs モーガン・ チャイエー(Morgan Charriere)
コスタが開始から前に出て、チャイエーを下がらせる展開を作った。
チャイエーは本来、外側で距離を保ちながら蹴りで組み立てたいが、後退が増えると逃げ道が減りやすい。
そして1R 1:14、コスタのヘッドキックがクリーンヒットして即ダウン。そこでレフェリーが止め、1分ちょっとで“即終了”のインパクト決着となった。
勝敗のポイント
- 主導権(前に出る側)が試合を作った:コスタが前進して、チャイエーに「外側で落ち着いて戦う時間」を与えにくくした。
- フェンス際は逃げ道が減る:下がった先がフェンスに近いと、回避の選択肢が少なくなり“当たりやすい角度”が生まれやすい。
- セットアップ→ヘッドキック:報道では、ボディへの攻撃(キック)を見せてから頭へつなげた形が強調されている。
- 一撃で終わる武器:ヘッドキックは当たった瞬間に試合が終わることが多く、判定の流れをひっくり返す力がある。
- 仕留め切る判断:当てた直後に状況が決まり、レフェリーが安全のために止める展開になった。
Round 1
- 開始からコスタが中央を取り、前進して圧をかける。
- チャイエーは距離を取りたいが、後退が増えてフェンスが近くなる場面が出る。
- 1R 1:14、コスタのヘッドキックが直撃してチャイエーが倒れ、そこで試合がストップ。
勝敗を分けた3つの技術
なぜ“あっという間に”終わった?
- 前進圧(プレッシャー)
前に出続けることで、相手の「外側で落ち着く時間」と「広いスペース」を削る。 - ケージ(フェンス)を背負わせる位置取り
逃げ道を減らすと、防御の選択肢が少なくなり、強打が通りやすくなる。 - ヘッドキックの破壊力
たとえガードが間に合っても、角度や威力で“巻き込む”ように当たると一撃で終わる。
その他メインカードの結果
-
勝者:ツェザーリ・ オレクシェイチュク
対戦:セザー・ アウメイダ
決着:判定3-0(30-27×3) -
結果:引き分け(ドロー)
対戦:ケネディ・ ンゼチュク vs マーカス・ ブシェシャ
決着:28-28×3(3者一致ドロー) -
勝者:キング・ グリーン
対戦:ランス・ ギブソンJr.
決着:判定2-1(スプリット判定)
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まとめ
UFCファイトナイト・ラスベガス112(Royval vs Kape)は、APEX開催らしい“静けさ”の中で、一発が当たった瞬間の空気がそのまま伝わる大会になりました。派手な演出が少ないぶん、攻撃の重さと「効いた時のざわめき」がダイレクト。年末の締めにふさわしい、濃い夜でした。
結果としては、全12試合のうち6試合がフィニッシュ決着(KO/TKOが5、一本が1)。
しかも1R決着が4試合あり、「短時間で試合が動く」場面が多かったのが今大会の特徴です。
一方で、判定決着もありつつ、ドロー(引き分け)やスプリット判定まで出て、勝ち方・終わり方がバラけたのも面白さを押し上げました。
メインイベントはマネル・ケイプが1R 3:18でストップ勝ち。短時間でも、距離の取り合い(どこで戦うか)と、当てるタイミング、そして決定力が噛み合った瞬間に試合が終わる——その“UFCの怖さと面白さ”が一気に形になった一戦でした。