【UFC323結果】衝撃の26秒決着|ジョシュア・ヴァン新王者に、パントージャに何が起きた?
【試合後レビュー】UFC 323 コメイン(Co-Main)|ジョシュア・ヴァン vs アレッシャンドリ・パントージャ
UFC323のコメインで組まれたフライ級タイトルマッチ、ジョシュア・ヴァン vs アレッシャンドリ・パントージャ。
長期政権を築いてきた王者パントージャに対し、新世代24歳のバンが挑む「世代交代マッチ」として大きな注目を集めました。
しかし実際の試合は、わずか26秒で決着。
パントージャが放ったキックをヴァンがキャッチ&トリップした際に、パントージャの腕が負傷し、そのまま試合終了という非常に珍しい形になりました。
本記事では、この一戦の流れをできるだけ分かりやすく整理しつつ、
「この結果はどう評価すべきか?」「フライ級タイトル戦線は今後どう動くのか?」という視点で解説していきます。
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ファイト概要|Fight Summary
- 対戦カード:ジョシュア・ヴァン vs アレッシャンドリ・パントージャ
- 階級:Flyweight / フライ級タイトルマッチ
- 試合結果:ジョシュア・ヴァン 勝利(新王者に)
- 決着方法:TKO(パントージャの腕の負傷)
- ラウンド・タイム:1R/0:26
UFC 323 インタビュー
試合展開|Round by Round Breakdown
Round 1:わずか26秒、キックキャッチから一瞬で終わったタイトルマッチ
- ゴング直後から、パントージャがいつも通り前に出てレッグキックを当てにいく立ち上がり。
- バンは大きく動かず、コンパクトなステップとジャブで様子を見ながらカウンターを狙う構え。
- パントージャが放ったキックを、バンがキャッチしてトリップ気味に崩す。
- その着地の瞬間、パントージャの腕(肘)に異常が発生し、その場でうずくまるようなリアクション。
- レフェリーのハーブ・ディーン(Herb Dean)が即座に試合をストップし、TKO(負傷)でバンの勝利という裁定に。
「“技術の攻防がほとんど始まる前に終わってしまった”という意味で、極めてレアなタイトルマッチ。
打撃の優劣やスタイルマッチアップが本格的に見られる前に、アクシデントに近い形で決着してしまったラウンドでした。」
勝敗を分けた3つのポイント|3 Key Factors
-
キックキャッチ&トリップの一瞬の攻防
パントージャはいつも通りレッグキックからペースを作ろうとしましたが、
その最初のキックをバンに掴まれ、バランスを崩された瞬間に腕を負傷。
「たった1回の攻防」が、そのまま勝敗につながった非常にレアなケースでした。 -
MMAにおける“アクシデントも結果の一部”という残酷さ
転倒時の着地や組みの入り方ひとつで、関節や肩・肘を痛めてしまうリスクは常にあります。
今回はそれが極端な形で表面化し、「実力差がほとんど見えないままタイトルが動く」という結果になりました。 -
若き挑戦者のプレッシャーとメンタル
バンは大舞台にもかかわらず、余計な突進をせず、
相手のミスや隙を待つような落ち着いた立ち上がりを見せていました。
実際の決着はアクシデント寄りではあるものの、「最初の攻防でリスクを取りすぎなかった冷静さ」も
結果的にはプラスに働いたと言えます。
この決着は“妥当”だったのか?|Was the Stoppage Fair?
- 結論:ルール上は妥当なTKO(負傷)
- パントージャ自身がすぐに腕の異常を示し、続行不能の意思をレフェリーに伝えていた。
- レフェリーは安全面を最優先し、即座に試合を止めたため、ストップ自体は正しい判断と言える。
- 一方で、「実力差を測る前に終わってしまった」という意味で、ファンとしてはモヤモヤが残る決着でもある。
- 「勝ちは勝ち」だが、“この結果だけではどちらが強いかは判断しきれない”という評価が妥当。
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試合前予想との答え合わせ|Prediction vs Reality
- 多くのファン・メディアの事前予想:
「経験値とグラップリングで勝るパントージャ有利。
ただしバンの勢いとスピードは要警戒」という構図。 - 想定されていたのは、3〜5Rにかけてじわじわ技術差が出るタフなタイトル戦。
- しかし現実は、開始26秒での負傷TKOという、誰も予想できなかった展開。
- ヴァンの勝利は正式な記録として残る一方で、
「この結果だけではフライ級の実力序列を語りきれない」というのが正直なところ。 - むしろ、この一戦は“フライ級ストーリーのプロローグ”であり、
今後の再戦や他のコンテンダーとのマッチアップが本当の答え合わせになっていきそうです。
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今後のマッチメイク予想|What’s Next?
勝者:ジョシュア・ヴァン(Joshua Van)の今後
- 若き新王者としてのポジション
24歳でUFCフライ級王者に到達し、史上2番目の若さでの戴冠。
戦績・勢いともに申し分なく、「新時代のフライ級の顔」としての期待値は非常に高い。 - 次戦の有力候補(Contender)
・平良達郎(Tatsuro Taira)
・ブランドン・ロイバル(Brandon Royval)
・マネル・ケイプ (Manel Kape) など
特に同じ新世代の平良との一戦は、「アジア発フライ級頂上決戦」として世界的な注目を集めるカードになり得ます。 - スタイル的な今後の課題
バンはスピードと手数、打たれ強さを兼ね備えた万能型。
ただし今回の試合ではスタイルの全容が見えなかったため、
「真価」が問われるのはむしろ次の防衛戦になりそうです。
敗者:アレッシャンドリ・パントージャ(Alexandre Pantoja)の今後
- 今回露呈した“課題”というより、アクシデントの側面
・技術的な穴というより、着地の不運と負傷によるストップ
・長期政権を築いてきた事実は揺らいでおらず、「実力で王座から落ちた」というよりは
“不運にタイトルを落とした王者”という見方が強い。 - 再起戦・あるいはダイレクトリマッチの可能性
・ケガの回復具合によっては、バンとのダイレクトリマッチも十分にあり得る
・もしくは、トップコンテンダーとの「復帰戦」を挟んでから再タイトル挑戦というルートも現実的 - 評価はどう変わったのか?
負けは負けだが、「パフォーマンスで完全に負けた」という評価にはなりにくい内容。
そのためランキング的なダメージよりも、ケガの回復期間の方が大きな問題になりそうです。
この試合から学べるUFC観戦ポイント
- MMAでは“アクシデントも勝敗の一部”
→ 完璧な準備をしていても、着地やバランスの崩れだけで勝負が決まることがある。 - キックは攻撃であると同時にリスクでもある
→ 相手にキャッチされると、そのままテイクダウンや転倒につながり、ケガの原因にもなり得る。 - レフェリーは“選手の健康第一”で試合を止める
→ 見ている側は物足りなくても、明らかな負傷があれば即ストップが正解。 - 短い試合でも物語は動く
→ たった26秒でも、
・新王者の誕生
・前王者の再起ストーリー
・次のコンテンダー争い
など、多くのドラマの“起点”になる。 - 「勝ち方」だけでなく「その後のマッチメイク」まで含めて楽しむ
→ 今回のような終わり方だからこそ、
再戦なのか、別の挑戦者なのか──その動きを追いかけることでUFC観戦はさらに面白くなる。
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総まとめ

Joshua Van vs Alexandre Pantoja ─ UFC 323のフライ級タイトルマッチは、
誰もが想像していたような「激戦のチャンピオンシップラウンド」にはなりませんでした。
それでも、この26秒の一戦がフライ級の歴史に刻んだインパクトは小さくありません。
若き挑戦者ジョシュア・ヴァンは、
アクシデント交じりとはいえ王者パントージャからベルトを奪い、新時代の扉をこじ開けました。
一方でパントージャは、「実力ではまだトップクラス」であることを誰もが知っているがゆえに、
ケガさえなければどうなっていたのか──という“if”を残した王座陥落となりました。
この試合が教えてくれるのは、
「MMAの勝敗は、実力・戦略・メンタルに加えて、コンマ数秒の偶然にも左右される」ということ。
だからこそ、
・なぜこの終わり方になったのか?
・この結果を受けて、次に誰と誰が戦うべきか?
・再戦は必要か?
といった「試合後の物語」を追いかけることが、UFC観戦の最大の楽しみのひとつでもあります。
フライ級は今、新王者ヴァンの登場で一気に再活性化しました。
平良達郎をはじめとした新世代コンテンダーたち、
そしてタイトルを奪い返しに来るであろうパントージャ──。
UFC323のコメインは、
フライ級戦線の“答え”ではなく、むしろ“新しい始まり”と言っていいでしょう。